
産業革命は18世紀半ば(1750年頃)から19世紀後半(1900年頃)にかけて進行し、世界の社会や経済のあり方を大きく変えました。この革命によって、手作業中心の生産から機械を使った大量生産へと移行し、工業化が進んでいきました。
しかし、産業革命は一夜にして起こったわけではありません。長い時間をかけて技術革新が進み、社会の仕組みが変化していったのです。ここでは、産業革命の流れを「産業革命の前兆」「第一次産業革命」「第二次産業革命」の3つの段階に分けて解説した上で、最後にその流れを年表でわかりやすくまとめておきますね!
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産業革命が始まる前の時代には、すでに工業化の土台が築かれていました。
18世紀前半の農業革命では、農地の囲い込み(エンクロージャー)や新しい農法の導入によって、食糧生産が大幅に増加しました。これにより、人口が増え、都市に移動する人々が増加し、後の工場労働者の供給源となりました。
この時期、ヨーロッパでは大航海時代(15〜17世紀)を経て貿易が活発になり、資本が蓄積されました。特にイギリスでは海外植民地との貿易が発展し、産業化を支える資金が整ったのです。
18世紀半ばからイギリスで始まった第一次産業革命は、機械化による生産性の向上を特徴としています。
ジェームズ・ワット(1736-1819)が改良した蒸気機関は、工場の動力源として利用されるようになりました。これにより、綿織物や鉄鋼などの生産が大幅に増加し、大量生産の時代が到来しました。
これまで家庭で行われていた手工業(マニュファクチュア)は、工場制機械工業へと移行しました。これにより、大規模な工場が建設され、都市部に労働者が集まり、都市化が進みました。
鉄道と蒸気船の登場によって、物資の輸送が効率化されました。1825年には世界初の鉄道(ストックトン〜ダーリントン間)が開通し、産業の発展をさらに加速させました。
19世紀後半になると、さらなる技術革新が起こり、産業革命は第二の段階へと進みました。
第一次産業革命では蒸気が主な動力源でしたが、電力と石油が新たなエネルギー源として活用されるようになりました。これにより、工場の生産効率が飛躍的に向上しました。
カール・ベンツ(1844-1929)が世界初のガソリン自動車を発明し、またライト兄弟によって飛行機が誕生しました。これにより、輸送手段が大きく変化し、経済の発展をさらに後押ししました。
ヘンリー・フォード(1863-1947)が開発した流れ作業方式によって、自動車などの製造コストが大幅に削減され、大量生産が可能になりました。これにより、工業製品が一般市民にも普及するようになったのです。
年 | 出来事 |
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1712年 | トーマス・ニューコメンが蒸気機関を開発 |
1764年 | ジェームズ・ハーグリーブスが「ジェニー紡績機」を発明 |
1771年 | リチャード・アークライトが水力紡績機を開発し、工場制度の始まり |
1776年 | アダム・スミスが『国富論』を発表し、自由市場経済を理論化 |
1781年 | ジェームズ・ワットが改良型蒸気機関を実用化 |
1804年 | リチャード・トレビシックが蒸気機関車を開発 |
1825年 | ジョージ・スティーブンソンが世界初の鉄道(ストックトン・ダーリントン鉄道)を開通 |
1830年 | マンチェスター・リヴァプール間の鉄道開通 |
1846年 | イギリスが「穀物法」を廃止し、自由貿易を推進 |
1860年 | ベッセマー法による鉄鋼大量生産が始まる |
1870年代 | 第二次産業革命(電気・化学・石油・鉄鋼産業の発展)が始まる |
1908年 | ヘンリー・フォードがT型フォードの大量生産を開始(フォーディズムの始まり) |
1914年 | 第一次世界大戦勃発(産業革命の終焉とされることが多い) |
産業革命の流れは、「農業革命による人口増加」→「第一次産業革命による機械化と工場制の確立」→「第二次産業革命による電力・石油の活用と大量生産」という段階で進行しました。
特に第一次産業革命では蒸気機関が、第二次産業革命では電力や石油が活用され、工業の発展が加速しました。このように、産業革命は世界の経済と社会の構造を大きく変え、現代の産業社会の基盤を作り上げたのです。