
アメリカの大量生産を担ったフォードの組立ライン(1913年)
出典: Photo by Unknown author / Wikimedia Commons Public domainより
産業革命といえば「大量生産」ってイメージがつきものですが、じゃあ具体的に何が大量に作られ、消費されていったのか気になりませんか?答えは意外と身近なモノばかりで、それが社会の暮らしを大きく変えていったんです。この記事では、その流れをわかりやすくかみ砕いて解説します。
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力織機による製織(1835年)
力織機の導入で布の生産が飛躍的に増え、大量生産による産業の拡大につながった。
出典: Photo by Wellcome Library, London / Wikimedia Commons CC BY 4.0より
産業革命のスタート地点といえるのが繊維産業。ここから「大量生産・大量消費」の時代が始まったんです。
ジェニー紡績機や力織機の登場で、イギリスでは綿布が驚くほどのスピードで作られるようになりました。今まで高級品だった布が安価で手に入るようになり、庶民の服装が一気に変化したんです。
安い布がどんどん出回ると、服を何着も持つことができるようになりました。着替えの習慣や流行が庶民にまで広がり、ファッションが日常の楽しみとして根づいていきます。
イギリスの綿布はインドやアフリカなど植民地にも大量に送り込まれました。工業製品の供給地と消費地を同時に確保できたことで、繊維産業は「世界市場」と直結する存在となったんです。
コールブルックデールの夜景(1801年)
石炭を燃料に鉄の大量生産を実現し、近代産業の基盤形成につながった。
出典: Photo by Philip James de Loutherbourg / Wikimedia Commons Public domainより
次に注目すべきは「産業革命を支えた燃料と素材」です。これがなければ機械も鉄道も動きませんでした。
蒸気機関を動かすために、山ほどの石炭が掘り出されて消費されました。まさに石炭が近代社会のエンジンになったんです。
機械、橋、鉄道、船…あらゆるものに鉄が必要でした。そのため製鉄業が急成長し、イギリスは「鉄の王国」と呼ばれるほどの生産力を持つようになります。
石炭と鉄の組み合わせによって鉄道や蒸気船が普及し、人や物の移動が爆発的に加速。鉄と石炭の大量消費は、そのまま交通革命を支える基盤でした。
フォードの組立ライン(1913年)
自動車の標準化部品を連続組立で処理し、単価を大幅に下げたことで大量生産が実現。低価格化が需要を拡大させ、家計に耐久消費財が普及することで大量消費が加速した。
出典: Photo by Unknown author / Wikimedia Commons Public domainより
最後に、「工場」が進化していく中でどんな製品が大量生産されていったのかを見ていきましょう。ここで登場するのがフォードの組立ラインです。
鉄製の調理器具や安価な家具、ガラス製品など、庶民が手にする日用品が次々と大量生産されるようになりました。生活レベルが底上げされ、消費社会の土台が築かれていきます。
20世紀初頭になると、アメリカのヘンリー・フォード(1863 - 1947)が組立ライン方式を導入し、自動車「T型フォード」を大量生産しました。これによって車は富裕層だけのものから、庶民でも手に入れられる存在に。大量生産の象徴が自動車だったんです。
フォード式の生産方法は自動車業界だけにとどまらず、電化製品や家電といった分野にもどんどん広がっていきました。冷蔵庫や洗濯機、ラジオなどが大量に作られるようになり、多くの家庭で手に入れられるようになったのです。
こうして暮らしの中に「買って使う」という新しい前提が根づきました。物を大事に長く使う時代から、必要に応じて新しい商品をどんどん買い替える時代へ──それこそが大量消費社会の誕生だったのです。
こうしてみると、産業革命で大量に作られたのは布や鉄、自動車など、どれも人々の暮らしに直結するモノばかりでした。
それを支えたのが石炭や鉄の大量消費、そしてフォードの組立ラインのような革新的な仕組み。今の大量生産・大量消費の社会は、この時代から始まっていたんですね。
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