
産業革命は、世界の貿易のあり方を大きく変えました。以前の貿易は、香辛料や絹、金銀などの贅沢品が中心でしたが、産業革命後は工業製品と原材料の流通が主流となり、世界経済の構造が大きく変化したのです。
では、産業革命によって貿易はどのように変化したのか、そのポイントを詳しく見ていきましょう。
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「工業国」と「原料供給国」に分かれる貿易構造が生まれました。
産業革命により、イギリスをはじめとする工業国では大量生産が可能になりました。特に繊維製品(綿布)は、機械化によって低コストで生産できたため、アジア・アフリカ・アメリカ市場へ大量に輸出されました。
工業生産には大量の原材料が必要です。そのため、工業国は植民地や貿易相手国から綿花・砂糖・ゴム・木材・鉱物資源を輸入しました。特にイギリスは、インドやアメリカ南部から綿花を輸入し、繊維産業を発展させました。
植民地を「市場」と「原料供給地」として活用する貿易体制が確立しました。
イギリスは広大な植民地を支配し、貿易を独占することで経済的優位を確立しました。例えば、インドからは綿花を輸入し、イギリスで繊維製品を生産した後、インド市場に再び販売するという経済的支配を行っていました。
18世紀に栄えた三角貿易(ヨーロッパ→アフリカ→アメリカ→ヨーロッパの貿易ルート)は、産業革命を経て次第に形を変えていきました。奴隷貿易が廃止される一方で、ヨーロッパからの工業製品の輸出が拡大し、新たな貿易ネットワークが形成されていきました。
鉄道・蒸気船の発達によって、貿易がより効率的になりました。
18世紀までは帆船が主流でしたが、19世紀になると蒸気船が登場し、貿易の速度と効率が飛躍的に向上しました。これにより、大量の工業製品や原材料を遠くまで迅速に輸送できるようになったのです。
鉄道の発展によって、国内の物流が大幅に向上し、港や都市への輸送コストが削減されました。これにより、貿易だけでなく、国内市場の活性化も進みました。
19世紀半ばから、各国は「自由貿易」へと転換していきました。
イギリスは1846年に穀物法を廃止し、自由貿易へと舵を切りました。これにより、世界中から安価な食糧や原材料を輸入し、工業生産に集中する体制が整いました。
自由貿易が広まるにつれ、各国は関税を引き下げ、より広範な貿易が可能になりました。しかし、これにより工業国同士の競争が激化し、19世紀末には保護貿易に回帰する国も現れました。
産業革命によって貿易は大きく変化し、現代の貿易体制の基盤を築きました。
こうしてみると、産業革命は貿易の形を根本から変え、世界経済のグローバル化を加速させたのですね!