三角貿易と産業革命の関係とは?奴隷貿易が与えた影響を知ろう!

三角貿易と産業革命の相互影響

三角貿易と産業革命は相互に影響し合い、植民地からの原料供給と奴隷貿易の収益が工業化の資本を形成した。逆に工業製品はアフリカやアメリカに輸出され、貿易循環が強化されたのである。本ページでは、産業革命の国際経済や植民地貿易、資本蓄積を理解する上で重要なこのテーマについて、さらに詳しく掘り下げレポートしていく。

三角貿易と産業革命の関係とは?奴隷貿易の影響を知ろう!

大西洋三角貿易の模式図

大西洋三角貿易の模式図
ヨーロッパの工業製品がアフリカで奴隷と交換され、アメリカから原綿や砂糖などの一次産品が欧州へ戻る循環。原料供給が産業革命の紡績・製鉄を加速し、逆に工業製品の大量供給が三角貿易の拡大につながった関係を示す。

出典: Photo by Hogweard / Wikimedia Commons Public domainより


産業革命の背景を探るときに欠かせないのが三角貿易。ヨーロッパ・アフリカ・アメリカを結ぶこの貿易は、イギリスの産業革命を下支えした仕組みのひとつなんです。特に奴隷貿易との関係は見逃せません。この記事では、そのつながりをわかりやすくかみ砕いて解説します。



三角貿易のしくみ

まずは「三角貿易」そのものがどんな仕組みだったのかを押さえておきましょう。ヨーロッパからアフリカ、アメリカへと物や人が行き来する、巨大な貿易ネットワークでした。


ヨーロッパからアフリカへ

イギリスをはじめとするヨーロッパの商人たちは、布や鉄製品、銃などをアフリカに送り込みました。その代わりにアフリカの商人から奴隷を調達。この取引が三角貿易の第一の流れでした。


アフリカからアメリカへ

アフリカで調達された奴隷は、船に詰め込まれてアメリカ大陸へ送られます。航海の途中で命を落とす人も多く、過酷そのものでしたが、アメリカに到着した奴隷は農園での労働力として使われました。


アメリカからヨーロッパへ

奴隷の労働によって、アメリカでは砂糖・綿花・タバコといったプランテーション産品が大量に生産されます。それがヨーロッパに送り返され、莫大な利益を生み出したんです。「物・人・資源」が循環する三角の流れが完成しました。



奴隷貿易と産業革命

次に、三角貿易の中でも特に大きな役割を果たした奴隷貿易と産業革命の関係を見てみましょう。


綿工業への原料供給

産業革命期のイギリスで飛躍したのが綿工業でした。その原料となる綿花を安定的に供給していたのは、アメリカ南部のプランテーション。奴隷の過酷な労働が、実はマンチェスターの織機を動かしていたんです。


資本蓄積の原動力

奴隷貿易や植民地貿易から得られた利益は、イギリス国内に戻って工場建設や機械投資に回されました。資本主義のスタート資金をつくったのは奴隷貿易の利益だったとも言えるんです。


港町の繁栄

リバプールやブリストルといったイギリスの港町は、奴隷貿易で巨額の富を手に入れました。そこから鉄道や造船などの関連産業も発展し、都市自体が産業革命のエンジンになっていったんです。



世界への影響

最後に、三角貿易と奴隷貿易がもたらした影響を世界的な視点で見てみましょう。


アフリカ社会への打撃

アフリカから何百万人もの人々が強制的に連れ去られたことで、社会や経済の基盤は大きく揺らぎました。人口減少や戦乱が続き、地域の発展を長期的に阻害したんです。


アメリカ経済の形成

奴隷労働によってアメリカは農業生産を拡大し、国際市場での地位を築きました。産業革命に必要な原料を供給する「農業基地」としての役割を果たしたんです。


資本主義のグローバル化

イギリスが世界の工場として成長する一方で、三角貿易は資本主義のグローバル化を加速させました。人や物が地球規模で結びつき、現代の世界経済の基礎がここで築かれたと言えるでしょう。



こうして振り返ると、産業革命の陰には三角貿易と奴隷労働があったことがよくわかります。イギリスの工場の繁栄も、アフリカやアメリカの犠牲なしには成り立たなかったんですね。
現代のグローバル経済の出発点を考えるうえで、三角貿易の存在は欠かせない歴史のピースなんです。